日本とベトナムはどちらも十二支を使い、順番も漢字も同じです。それでも動物が三つ食い違います。

卯は兎ではなく猫

一番よく知られているのが四番目です。日本の卯は兎。ベトナムのMãoは猫です。

なぜ猫になったのかは諸説あって、確定していません。よく挙げられるのは、漢字「卯」の古い漢越音が、ベトナム語で猫を指すmèoと響きが近かったという説です。ただし決定的な証拠があるわけではなく、他の説も残っています。

結果として、ベトナムの正月の飾りには猫が並ぶ年があります。日本人には見慣れない光景です。

亥は猪ではなく豚

十二番目も違います。日本の亥は猪(いのしし)。ベトナムのHợiは豚です。

これは日本のほうが少数派です。中国でも韓国でも、十二番目は豚にあたります。漢字「猪」が中国語では豚を意味するのに対し、日本語では野生の猪を指すため、受け取り方がずれたまま定着したと見られています。

丑は牛だが、同じ牛ではない

二番目の丑は日本では牛。ベトナムのSửuはtrâu、水牛です。どちらも牛には違いありませんが、ベトナム人が思い浮かべる姿は、田んぼにいる黒い水牛のほうです。

年が変わる日も違う

実務ではこちらのほうが厄介かもしれません。

日本は明治六年(1873年)に新暦へ移って以来、干支の年も一月一日に変わります。ベトナムは旧暦のままなので、テト(旧正月)に変わります。

テトは毎年一月下旬から二月中旬のあいだを動きます。つまり一月のあいだ、両国は別の干支の年にいることになります。年賀状やテトの挨拶文を作るとき、ここを間違えると干支が一つずれます。

使いどころ

ベトナム人の同僚と干支の話になったとき、「そちらは猫なんですよね」と言えると、たいてい驚かれます。知っている日本人がほとんどいないからです。

同じ文化圏から来た制度が、どこで分かれてどこが残ったか。十二支はそれが一番見やすい例です。