取引先や世話になった人へ贈り物をする習慣は、日本にもベトナムにもあります。ただし回数・時期・届け方が違います。

日本は年二回

お中元は夏の贈答です。関東ではおおむね七月、関西ではおおむね八月に贈ります。地域で一か月ずれるので、相手の所在地を確認してから送ります。

お歳暮は年末です。十二月の上旬から二十日ごろまでに届くよう手配します。二つのうち一つだけにするなら、お歳暮を選ぶのが一般的です。

由来は別々です。お中元は道教の「中元」(旧暦七月十五日)がお盆の供え物と結びついたもの。お歳暮は年末に先祖や本家へ供え物を届ける習慣が元になっています。

配送が基本

ここが大きい。日本のお中元・お歳暮はデパートやオンラインから配送するのが普通です。手渡しのために訪問することは、今はむしろ少数です。

金額も相場が決まっていて、三千円から五千円程度が一般的。高額すぎると相手に気を遣わせます。

ベトナムは年一回、手渡し

ベトナムのquà Tết(テトの贈り物)は旧正月前の一度だけです。そして直接持っていくのが基本です。

贈り物そのものと同じくらい、訪ねるという行為に意味があります。年末に挨拶に伺い、顔を合わせて渡す。これが礼儀です。

だからベトナム人社員が「年末にご挨拶に伺いたい」と言い出すことがあります。日本側は「送ってくれれば十分」と思いがちですが、相手にとっては訪問が本体です。

受け取れない会社が増えている

近年の注意点として、贈答品の受け取りを禁じている会社が増えています。コンプライアンス規程で、取引先からの物品受領を一律に断る方針です。

ベトナム側でも、公職や大企業では同様の規制があります。善意で贈ったものが相手を困らせることがあるので、贈る前に相手の社内規程を確認するのが今は常識です。

実務での整理

日本の相手に贈るなら、時期を確認して配送。ベトナムの相手に贈るなら、テト前に訪問の時間を取る。

形式を合わせるより、相手の文化でどちらが本体なのかを知るほうが大事です。